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TA(交流分析)の各概要
交流分析(TA)は人間行動を理解すつ為にいくつかの方法(分析や考え方)を組み合わせ体系化したものです。
ここでは8つの方法を簡単に紹介します。紹介のないようについて質問や確認または意見がありましたら掲示板へ投稿してください。できる限り早く応えたいと思います。
心理的ポジション
自我状態分析
やり取り分析
ストローク&ディスカウント
時間の構造化
心理的ゲーム
ミニスクリプト
人生脚本(Script)
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〜〜〜〜〜 心理的ポジション(心の4つのスタンス) 〜〜〜〜〜
私達は日常生活の中(人間関係や職場など)で、いい関わりや生産的に関わることもありますが、時には相手とうまくいかなくなり、相手を攻撃的したり、逆に自分がダメな人間だと自己嫌悪に落ち込んだりしてしまうようです。時には相手を非難する気持ちを持ちながら、自分も否定してしまい人や周囲を斜めでみてしまうことがあったりします。このような心の状態はどこかに一定しているのでなく、関係の中で動いているようです。しかし、どのような状態になり易いかは私達の「基本的な心の状態」があるようです。このことを交流分析(TA)では心理的ポジションと呼んでいます。
幸いなことにこの心の状態は私達の成長(自律性の向上)によって、問題のある関係からいい関わりや生産的な関係へと変化させたりして、その関係を維持することができるといっています。ここで大事なことは、「私達は常にいい関係に居られるわけではないということです。いろいろな関係の中で、よりよい関係に持って行けるとということが大切なことなのです」つまり、自己嫌悪に落ちいったり、攻撃的なったり、人を斜めで見たりするようなことは人や社会と関係を持つ限り起こってくるということなんです。そして、その関係からよりよい関係を生み出せるということが大切なのです。
ここでは、以上の4つの心の状態を紹介します。そして、よりよい関係の為に自分自身の成長(自律性の向上)を学んでください。(ほんとは体験が重要ですが・・・)
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〜〜〜〜〜〜 ストローク & ディスカウント 〜〜〜〜〜〜
私達の体が健康的に生きていくには栄養や衛生、運動また睡眠などが必要ですが、交流分析(TA)では、同じように心が健康で生きていく為には自分自身で自分のことを受け入れることができ、また他の人から自分を受け入れてもらえることが必要だと言っています。反対に周囲から認められず、自分自身で自分のことを否定したりすると人は生産的に生きることが困難になるだろうとと言っています。
このことは交流分析(TA)の前提条件となっています。つまり交流分析のいろいろな考え方や分析の背景にはこのことが基礎となっているのです。同時に交流分析(考え方を含んで)の限界も示しています。(同じようにカールロジャースのカウンセリング、ゲシュタルト・セラピーも各々の理論的基盤があり、それが限界性も示しています)
交流分析では認める行為をストロークと呼び、認めない行為をディスカウントと呼んで、下記のように定義しています。
人はストロークのある環境にいる場合は、はつらつとしていい人間関係をつくり、生産的に振舞うことができ、自ら考えよりよく生きようとする姿勢をつくると言われ、反面ディスカウントの環境の中にいると自分を責めるかまたは相手を責める関係をつくり、関係性をダメにしていく方向に向かうといってます。そして、やる気がなくなり、自ら取り組んだりする姿勢を失ったりします。それは今の職場や家庭などの環境もありますが、幼少期の関係(親子または自分を取り巻く環境)が大きく影響すると考えられています。
これらは、関係の中で起こってきた(または起こっている)のですから、本人や周囲の関係のあり方で変えることは可能だと考えられています。
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ストローク・・・・・ | 自己及び他者の存在や価値を認めること |
挨拶/一緒に遊ぶ/伝える(話す)/聴く/励ます/ 注意する(相手が理解する)/叱る(相手が理解する)etc. |
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ディスカウント・・ | 自己及び相手の存在や価値を認めない、または値引きすること |
けなす/取り上げる/理不尽な行為/殴る/質問に応えない 無視する/取り合わない/聞かない/DV/レイプetc. |
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〜〜〜〜〜〜 自我状態分析(PAC) 〜〜〜〜〜〜
人の反応の仕方を3つの要素の分類して人を理解しようとする考え方です。その3つの要素は発達段階から分類しています。また自我状態分析には刺激と反応として捉えた見方「機能分析」と、刺激に対しする反応がどのように形成されたかということを捉えようとする「構造分析」という2つの見方があります。
前者の代表的なものがエゴグラムで、よく性格分析的な見方として活用されます。手軽に自分を理解したり、自分の行動を変えることに自分の変化を期待することが出来たりします。交流分析の一番ポピュラーな部分ではないでしょうか。ここだけを取り上げると、なじみのある行動療法と同じのように見えます。
後者の構造分析は人生脚本や心理的ゲームなどに含まれています禁止令の形成と反応のメカニズムの理解に使われます。例えば、「やろうと思っているのにやる気が起こってこないとか」、「ちゃんとやろうと思っているのに、いつもいい加減になってしまう」などのメカニズムに、また自我状態(PAC)の内容の理解に使われます。この部分はまったくの精神分析療法になっています。
各自我状態は幼少期から少年期に形成され、その後はその形成された刺激と反応の言動を繰り返していると言われていますが、自律性の向上により、より望ましい(自分が望む)言動を自ら選択していけるようになると考えられています。
自我状態分類 形成要因 特徴
親の自我状態
(Parent)幼少期の親または環境の言動を無条件に取り込んだ部分。文化、地域性も含む言動や考え方の価値基準を形成する。 その人独自の言動、考え方。価値観。優先順位などの価値基準を形成している。本人は当然のこととして持ち、他の価値基準を取り入れようとしない
大人の自我状態
(Adult)8歳〜10歳に急激な発達が見られる。自分が保護されない環境に居ると他の自我状態を抑えてしまい、強化する傾向がある。 冷静で客観的な面であり、自分の考えや他の人と間がなどを比較したり、分析したりして合理的に反応する部分。他の人や周囲また環境と距離をおく関係をつくる面でもある。
子どもの自我状態
(Child)幼少期の(人間関係や環境など)感情体験から取り込んだ部分。感情体験としては快感覚と不快があり、それがFCとACに分類される。 幼少期に心地よい経験が多い人は積極的に明るく、逆の体験が多い人は消極的で暗い自分を表現する。感情で動くのでほとんど無意識の言動がが多い。
<機能分析としての自我状態分析> 周囲に厳しくしたり、優しくしたりするこで、厳格、保護的な私
責任感/けじめ/偏見/圧力/思いやり/配慮心づかい/過干渉冷静、客観的、合理的な部部でコンピューター的な働きの私
計画的/冷静さ/打算的/役割的/人の話を聞く感情的で、わがままな自分で自己中心的な私
明るい/直感的/行動的/暗い/内省的/従順/消極的
エゴグラムの性格診断をやってみてください。自分で気づかない面が見えるかも知れません。しかし、エゴグラムで見る自分の一部であり、全てではないことを理解してください。下をクリックして各自我状態のポイントを掲示板に投稿していただければ、HP表紙のcommentsに診断結果を掲載します。
<構造分析としての自我状態分析> 構造分析は人生脚本の理解や禁止令のメカニズムなどの理解が活用されますここに示したのは構造の事例です。私達のP(親の自我状態)は親の自我状態や環境(文化など)の影響を受けることを示しています。
また、Cの自我状態の中にある小さな教授はあたかもアダルトのように振舞いますが事実が中心にあるのでなく、自分の感情が中心ある言動をします。ちょうど私達の生活では屁理屈のようなものです。例えば、「親に言いたいことを言えばいつも反抗的だと叱られる」なるほど「自分のいいたいことは言わない方が無事でいられるのか」などのように受け取ってしまうのです。そして、どこでもだれにでも自分のいいたいことを言わない。もし、言いたいことを言ってしますと分けもなく怖くなってしまうという反応が起こってしまう(無意識)
このようなことはその人の生き方(人生脚本)の形成に大きな影響を及ぼしているわけです。(簡単な説明ですが)
やりとり分析
他の人の自我状態と自分の自我状態がどのような刺激と反応をしているかという見方で、コミュニケーションのあり方を分析として扱う。パターンとして下記のように3つに分けて分析し、そこから「自分がどのような関わりをしているか」などを発見していきます。
「平行交流」:コミュニケーションが継続する関係(相補交流)
「交差交流」:コミュニケーションが断絶する関係
「裏面交流」:建前と本音のコミュニケーション関係
時間の構造化
周囲との自分のかかわり方を6つのパターンに分類し、その関わりが時間の中でどのようなウェイトが持たれ、またその内容を取り扱おうとした考え方。それはその人の存在のあり方(生き方)で、ストロークとの関連が含まれています。望ましい「時間の構造」は各人特有のものとされています。
5つの分類は下記のように表現されます。
ひきこもり(自閉) 儀礼や儀式 社交(雑談、気晴し) 活動(生産的活動) 心理的−ム 親密 (共感的関係)
心理的ゲーム
特定の人との関係において、いつも決まった結末に向かって行く関係であり、決まったパタ−ンの相補交流と裏面交流のやりとりが隠されています。特に心理的ゲームはいやな感情(NOT OK Feeling)で終わり不快感やイライラ、怒り、虚無感、ひどくなると殺人や自殺に発展することがあります。
日常において、軽いまたは重い心理的ゲームは何度となく繰り返され「行き詰まったいやな関係」になり「分かっちゃいるけど、止められない」に陥っていきます。
例えば、どうにかして上げたいと思うカウンセラーと私のことは誰も分かってくれないというクライエントの関係でもよく起こってきます。
心理的ゲームの典型的なものにはいくつか名称が付けられています。
Ex. 「馬鹿ヤロー」ゲーム・「どうせ僕なんか・・」
「yes,but」ゲーム・・・「分かりますよ、でもね・・」
ミニスクリプト
幼少期の親(またはそれと同様な環境、文化など)からの強い指示(ドライバー)と同時に行動の禁止(ストッパー)を伴った一連の刺激反応によってつくられ、大人になっても行動の束縛として持っています。その束縛から自由になるには、許可(パーミッション)が大変効果的です。
Ex. いつもきちんとしなさい、やるなら最後までしなさい。(繰り返す親の強い指示)
(子どもの反応)結局、親の期待通りきちんと(完全に)できない。
(子どもの行動)ぐずぐずして、すぐにやろうとしない。
ドライバー(外的刺激)
「きちんとしなさい」ストッパー(心的反応)
「行動するな!」
〜〜〜〜〜 人生脚本(Script) 〜〜〜〜〜
「あ−、またやってしまった。」とため息をつくような、今ここでやっている癖のようなことを交流分析(TA)では「心理的ゲ−ム」というコトバで呼んでいますが、それと似たように自分の人生の中で何となく宿命・運命のように繰り返され、あたかも一つの「テーマ」のようになっていることがあり、それに気がつかれる方も多いのではないでしょうか。 例えば
「私はいつでも、もう少しの所で失敗する。」
「私はいつも、大事なところで自己主張できなくなって損をしているような気がする」
「私はいつも、ほんとに好きな人からは愛されない人なんです。」
「私は、最後に失敗して叱られる運命をもっているようだ。」
「誰も私のことを理解なんかできないんだ、結局私は孤独だ」などのように。
TAの創設者エリック・バーンは、このように人生の中で同じ場面が繰り返されることに興味をもち、人生はまさに一つのドラマ(演劇)のように成り立っているのではないかと・・「ドラマの主人公はドラマの中で偶然にいろいろな出来事が起こっているように演技しているのですが、実は脚本に従って、主人公の人生ドラマを演じているわけです」・・考えました。
そして、ドラマ(演劇)は人生のテーマを文学的にやや誇張したものですからドラマは人生を象徴化したものとも言えるようなのです。このことはエリック・バーンが多くの臨床から感じ取ったことのようです。
人生脚本は偶然のある場面(その場面も脚本による無意識の選択かも知れませんが)において、自分の言動をどのように選択するかを決めている(自分の意志とは別に)プログラムのようなものなのです。ある場面において、私達は普通多くの選択肢を持っているものですが、気が付かないうちに同じような言動または関係を選択し、同じような場面の終わり方をしているということなのです。それは自分の充実感を高めたり、時にはやるせいない惨めな感情を持ったりしてしまいます。
人は気づかないうちに自分で脚本をつくり、その脚本に従って人生ドラマを演じながら生活(生きて)しているというのが人生脚本分析の考え方の第一歩です
自分の人生をより望ましい生き方にしようとするなら、その脚本に気づき、必要に書き換えるか、自分を不幸にする脚本から脱却すればよいのです。人生脚本は宿命・運命とは違って過去の小さいころの自分が創りあげたその時のやり方(反応)ですから、どんな困難があったとしても、自分の意思に基づき自分で書き直すことができわけです。このことが交流分析(TA)の人生脚本分析における重要なねらいなのです。
エリック・バーンは人生脚本を下記のように定義をしています。
「人生脚本(スクリプト)は、幼児期になされた決断に基づいて、人生をこう過ごしてやろうと決めた計画である。それは、両親(又は、環境)によって補強され、次々に起こる出来事によって正当化(ああ!やっぱり)され、ついには自分でいろいろなやり方の中から、自分で決めた線に沿って「今ここでのやり方」を選んでしまうことであり、それ以降、状況が変化しても無意識に繰り返されている。
TAでいう人生脚本は、運命とか宿命とは大変な違いがあります。人生脚本は自分のチャイルド(子供の自我状態)が過去(主に少年・少女期)に、周囲との関係の中から自分なりに感じ取り、その中で決めた決意なのです。
<人生脚本形成の概要> (エリック・バーンの人生脚本モデル) [EPI] [Pr] [C] [IB] [Pay−off]
幼児期の影響 脚本の決定 リハーサル 重要な行動 結末
EPI Early Parental Influence(0歳〜3,4歳) 幼児期の親及び環境から受けた感情的体験。
(お父さん(お母さん)が〜するのは、きっと〜だからだろう。)
Pr Program(4,5歳〜12,3歳) 本人が従う脚本の概要 (〜なら、〜のようにやろう。)
C Compliance(12.3歳〜14,5歳) 自分が決めたやり方(脚本)のリハ−サル
案として持っている脚本を確認して、自分はやはりこう生きるんだ。
と自分で承諾する。(やっぱり、いつもこうなるんだ)
IB Important Behavior(青年期以降) 人生の中で行動を脚本に従って決定していく。
特に、人生において重要な場面で現れやすい。結婚・職業・育児・死
(結局こうなるんだよ。 そういう運命なのか)
Payoff 脚本の終結 EPI時またはPr時の感情が強く現れてくる。 同じような言動の選択が繰り返され、その度に同じ状態になり、同じ感情を持つ。
いよいよ日常生活で実行され、その場面は毎回同じような終わり方を経験する。
望ましい生き方の選択
人生脚本は私達にメリットとデメリットの両方をもたらしてくれるものですが、その決定は幼児期または少年期によるものであり、そのメリットは多くの場合幼児期の場合が多いものです。それが、大人になる過程で自分自身を束縛するようになっていきます。しかし、その脚本の決定時期(幼児期または少年・少女期)には大変に重要な意味があります。私達の幼児期または少年・少女期には生き延びる為に、周囲から嫌われない為に、自分自身が傷つかない為に、周囲の期待に応える為に、喜んでもらう為に、周囲の争いを起こさないようにする為に必要だったものなのです。
青年期以降、少年・少女期に決定した脚本に必要な変化を起こすと、普通だれもが自分にゆったりと自分らしく自由な気分になることが経験できるようになります。それから、数週間または数か月間すると過去のやり方に後戻りすることがあります。それは、あたかも過去の行動のやり方に何か自分らしいと思ったり、過去の方がいいのではないかと思ったりするのです。(無意識の断片的感情の引き戻し)
しかし、人は自分に目覚めル時、過去の行動のやり方(行動)はもう以前のような満足と充実感をもたらさなくなることに気づいています。そして、今はより満足できる新しい行動の選択肢も気づくようになります。ですから「今ここ」で新しい行動を選択しより満足のできる行動ができるようになります。
そして、自分自身にとって過去の行動のやり方(過去の脚本)は少しも魅力を持たなくなり、より自分らしい自分を経験していくのです。
私達は日常で「今、ここに」気づき(受け入れ)、周囲と協働し(親密さ)、自分の意思で言動を選択する(自発性)ことにより、自分に満足し充実感のある生活ができるようになります。
そして、本来「気づき」「親密さ」「自発性」のリソース(資源)を持っているものなのです。
そのリソースは生き生きとした自分の生き方を獲得していく力になるのです。